理事役員

理事長 森澤 將司

はじめに

 

 「呉青年会議所は、本当に呉を明るく豊かなまちへと変えてくれるかもしれない。

 

 私は2018年に呉青年会議所の門を叩きました。入会の動機は、父がOBであったこと、また友人に誘われたからという至って単純なもので、特別な夢や希望、野心はありませんでした。呉青年会議所が呉を明るい豊かなまちにするために存在すると聞いたとき、それはただの綺麗ごとだと思ったのが正直な感想です。しかし、呉のために失敗を恐れず、身を粉にして努力を惜しまず、そして助け合う仲間の姿を見てその考えは一変したのです。

 最初はなんとなく仲間と過ごし楽しむだけだった私も、真剣に行動するメンバーの姿に感銘を受け、呉のまちのために活動していきたいと思うようになりました。

 2021年、私は呉青年会議所のまちづくり委員会のプロジェクトリーダーとなり、呉のことを調べる中で、このまちにあるたくさんの魅力を知り、家族やメンバーに伝えることで、呉への愛着が深まっていきました。事業当日、メンバーが参加者と触れ合い、生き生きと活動する姿を今でも鮮明に覚えています。多くの子どもの笑顔を見たとき、この笑顔を絶やさず私が深い愛着を持ったこの呉のまちで過ごしてほしいと強く感じました。

 その2年後、呉の高校生とおこなった、まちづくり事業で呉青年会議所メンバーに負けないくらいのモチベーションで呉のまちを盛り上げる若者の姿を見て、呉のまちに愛着を持って育った若者の力は呉の未来に必要だと確信しました。

 まちの宝は子どもや若者です。彼らこそが未来の呉に必要な存在であり、明るい豊かな呉のまちとは呉市民の笑顔が絶えずあふれ出すまちなのです。

 しかし、総務省の調査によると、広島県の転出超過数は全国で2年連続第一位という由々しき事態であり、その中でも呉市は、若者の転出数が県内で第2位という深刻な問題に直面しています。転出理由は「就職」が最も多く、次いで「転業、転職」となっています。若者の転出を食い止めない限り、地域社会の活力や経済力、生活機能の低下による都市の衰退は必至です。このままでは呉に愛着を持った子どもや若者も帰ってくるまちがなくなってしまうことも懸念されます。私が理事長を務めるにあたり、呉の明るい豊かなまちのため、主に2つの投資を行います。1つ目に、市民が愛着を持ち自分たちでまちを盛り上げたいと思う意識を育む機会に投資します。2つ目に、呉青年会議所メンバーが各々の能力を最大限に引き出し、まちのために活動できる能力開発の機会に投資します。ここでいう投資とはお金を使うわけではなく、呉青年会議所の財産であるメンバーのリーダーシップと豊かな発想力、行動力を惜しみなく投資をします。呉のまちの発展に寄与し、市民が笑顔で暮らせるまちにしていきます。

 

呉の魅力を多く知り、転出者に歯止めをかける

 

 呉市の「高校生定住志向によるアンケート調査」では、進学や就職場所に関しての質問に対して、「今はまだどうするか考えていない」と回答する高校生が約60%いるという結果が出ています。これは現実的な回答だと感じるとともに、若者が呉市の魅力を知り、誇りを持つことで改善できる事案だと考えます。私自身も「親元を離れて自立したい」という理由で県外に出ました。地元呉が嫌だったわけではありませんが、就職先の選択肢を呉にするという考えはありませんでした。もし、幼少期のころから呉市の魅力に触れ、誇りを持つことができれば、呉に住む意味を自分自身で見出すことが出来るのではないでしょうか。呉市に住み続ける、またUターン就職を選択する若者が増えるための取り組みを行っていきます。

 

呉の魅力ある企業との繋がりを創出する

 

 若者の転出理由で最も多かった回答は、「呉に就職したい企業がない」というものでした。私自身も関東の大学へ進学し、そのまま就職しましたが、呉に戻る選択肢を持ちませんでした。しかし、実際に呉に戻り、多くの企業と関わる中で、地域貢献を重視する企業や従業員の幸せを第一に考える企業、優れたリーダーシップを発揮する企業など、呉には魅力的な企業が多数存在することを知りました。この事実を知らずに「呉に就職したい企業がない」と判断するのは非常に惜しいことです。若いうちから魅力的な呉の企業情報に触れることで、呉に就職したいと思える環境を創っていきます。

 

幅広い年代へ呉青年会議所をブランディングする

 

 青年会議所の活動や存在意義を示し、団体としての本質を全年齢層の市民に知ってもらうことで、ブランディングを推し進めます。呉青年会議所の広報は、近年の活動を経て、特にSNSを中心に効果的に発信が出来ていると感じます。しかしながらそのSNSの閲覧者数を年代別に見ると、30~40代が最も多く、逆に10~20代は低いことが分かります。より効果的な広報活動を目指すのであれば、既存の形に捉われず、この偏りを改善する必要があります。幅広い年代に認知され、団体のブランド力を高めることで、呉青年会議所をより身近に感じてもらう広報活動を目指していきます。

 

出会い、変化を楽しむ

 

 私は青年会議所に入会し、自分と考え方の違うメンバーとの出会いで、価値観が変わりました。困難から逃げず、妥協しない事の大切さを知ったのです。新たな出会いは、新たな変化のチャンスです。会員拡大を進めることがこれに当たると考えます。様々な価値観を持った人と出会い、多様な個性が響き合う団体へと変化させます。また、新入会員は青年会議所にとっても未来の宝です。彼らの魅力を最大限に引き出し、団体の価値を底上げします。そのためにも、変化を恐れず、変化を楽しめる団体にしていきます。

 

リーダーシップを高め、呉の未来を考える

 

 呉市は2018年の豪雨災害や2020年からのコロナウイルス感染拡大など、様々な問題に直面しました。しかし、呉青年会議所はこれらの状況下でも呉が抱える課題を解決するための活動を絶やさず、当時の理事長は「このような事態だからこそ歩みを止めてはいけない。」と会を引っ張っていきました。圧倒的なリーダーシップは多くの人の心を動かす力があると知ったのです。青年会議所は、社会により良い変化をもたらすためにリーダーシップの開発と成長の機会を提供する団体です。呉の未来を考え、行動することで我々のリーダーシップはさらに高まり、呉に起こりうる社会問題や変化にも柔軟に対応できる団体にしていきます。

 

おわりに

 

私はこれまで様々な青年会議所活動をしてきました。その中で最も心が震えた瞬間は、参加した子どもの輝いた笑顔に出会った時です。より多くの輝いた笑顔と出会うために、私たち青年会議所メンバーは、呉の未来を考え活動していき、修練を積み、奉仕の心を持ち続け、友情を深めていくことが必要です。呉青年会議所メンバーが笑顔の絶えない一年にしていくのはもちろんのこと、未来の宝である子どもや若者が呉のまちに愛着を持ち、笑顔が絶えずあふれる日々を創出していきます。

さぁ行こう。笑顔あふれる未来のために。

 

 

※参考 

 呉市の課題と現状(令和2年度)

 呉市民意識調査結果報告書(令和元年度)

 呉市の若者(高校生)の定住志向に関するアンケート調査(令和2年度)

 総務省統計局 住民基本台帳人口移動報告2023年(令和5年度)