理事長挨拶

理事長  糸谷 知剛  

 

【基 本 方 針】

若者からお年寄りまで挑戦できるまち 呉の創造
繋がりによる人材育成・拡大機会の創出

 

【スローガン】

Positive Change

 

Positive Change

 

 

 

 

【所   信】

 

はじめに

 

To provide development opportunities that empower young people to create positive change.
これは、「より良い変化をもたらす力を青年に与えるために発展・成長の機会を提供する」という意味であり、国際青年会議所(JCI)が掲げる使命です。
問題意識を持ち、多くの問題に取り組む過程で人は成長する事ができる。そして成長した人がまちに溢れる事で地域は豊かになっていく。私はこれを呉のまちで実現したいと思います。
そのためには最初に、地域の問題を分析し、その解決方法を選び、実行し検証を行います。そしてこの一連の流れを青年会議所だけでは行わず、周りの人たちと一緒になって実施し、PDCAサイクルのように何度も回すような事業を行うことが必要です。これは、JCIにおいてアクティブシチズンフレームワーク(ACF)と呼ばれる事業構築の方法です。
このACFに合致する事業として、呉青年会議所が行った事業があります。それは、2018年に呉を襲った豪雨災害に関する一連の活動であり、多くの市民や団体と協働することでなされた事業でした。この一連の取組みは、国内のみならず世界においても評価され、数々の褒賞を受賞しました(JCI AWARDS等)。
世界の褒賞を受けるという今までにない結果が得られたのは、復興に携わった市民や団体をはじめ、兄弟JCである高知青年会議所との繋がり、広島ブロック協議会や日本青年会議所、そして国際青年会議所との繋がりの力が認められたからであると確信しています。
メンバーとの繋がり、市民・地域との様々な繋がり、そして世界との繋がりこそが、青年会議所の力です。
これらの繋がりのなかでも、とりわけ世界との繋がりがあること、青年会議所が国際組織であるということは、青年会議所の特別な財産です。地域の問題を解決するために、世界との繋がりを活かしていくことが、青年会議所の強みです。

 

高齢者が挑戦できるまち

 

では、わがまち呉の問題とは何でしょうか。それは、高齢化による地域の活力の低下であると考えます。
呉市は海、山に囲まれ天候にも恵まれ、のどかなまちです。海軍工廠の医療施設などが充実していた歴史を有しており、現在も呉市内に400床を超える病院が3つ存在しています。軍港ということから高度に医療が発展し、今では日本の人口15万人以上の都市で高齢化率がトップという都市になりました。
呉市人口ビジョンによれば2040年には人口がおよそ16万人になると予測されており、人口に占める約40%が65歳になり、少子高齢化がどんどん加速します。高齢化社会の問題の一つに、年齢を理由に個人の成長が止まることで組織の成長が止まり、社会の成長が止まる恐れのあること、それによって地域の活力が低下することが挙げられます。
高齢者が増えること自体ではなく、高齢者自身が仕事や育児という大きな義務、生きがい、責任を失い、社会との関わり合いが薄れることが問題です。元気に生きるという前向きな気持ちが失われることこそが大きな問題なのです。
呉市高齢者福祉計画第8期介護保険事業計画によると、毎日の生活について「生きがいあり」と答えた人の割合は約半数しかいません。さらに、同計画によると、高齢者への調査の結果、各種リスクがあると判定された人の中でも「社会的役割(友人など他者との関わり)の低下」が59.5%と最も高くなっており、高齢者の社会交流を増加させることが求められています。
高齢者の社会的な交流を様々な切り口から増加させ、社会的役割を得ることで生きがいを持ち,高齢者がイキイキと活躍できる風土を創り出すことができれば、この高齢化率の高い呉市をより活力あるまちに変えることが可能となります。

そのひとつの好例に徳島県上勝町は人口2000人足らず、高齢化率50%の小さなまちですが、アイデアと使命感に燃えた地域のリーダーとおばあちゃんたちの創意工夫で「葉っぱビジネス」を作り上げ、年収1000万円のおばあちゃんも現れました。出番と役割の舞台を作ることに成功したまちは、現役長寿であり他の地域に比べて医療費が低いと言われています。

呉市にこのような流れを生み出す方法として、高齢者に対し、仕事でも家事育児でもない新たな役割を持つ機会を作り解決します。
その役割を得るために高齢者自身が学習するなかで、学習意欲の向上を図る事ができます。また、自らの知識や技能を活かしながら活躍することで、地域社会との交流を深めることができ、健全で生きがいのある生活を営むことが可能となります。
 その生きがいを持った高齢者がまちに増える事で、より活力溢れるまちをつくることが可能となります。

 

若者が挑戦できるまち

 

高齢化率が高いということは、若者が減少しているということであり、この若年層の流出も問題となっています。呉市は広島県内でも若者の市外への転出が多い都市であり、若者の減少が賑わいの低下、まちの活力の低下に繋がっています。
高齢者が活躍する社会であることと同時に、その地域の将来を担う若者がイキイキと活躍する社会である必要があり、そのために、将来にわたり維持・発展でき、地域に根づき継続できるような仕組みを作らなければなりません。
2018年に呉市を襲った西日本豪雨災害では多くの住宅に土砂が流れ込んでしまいましたが、高齢者だけの世帯では自宅の土砂を自力で撤去することができませんでした。そこで呉市民を含めた多くの若者がボランティアを結成し土砂を撤去しました。このように、若者の力はそのまちを維持するために極めて重要な要素であり、若者の転出を食い止める事を視野に入れることが必要です。

この問題に対しては、青年会議所が国際組織であるという繋がりのメリットをもって解決を行います。現状では、都会的な価値に流されて若い世代が大都市へと出ていってしまいますが、既存の価値観にとどまらない広い視点でこの呉のまちを見直し、呉の魅力を再認識することができる、国際的な機会を提供します。そしてその機会は、既に積極的に呉のまちで活動している若者たちにとっても、自分たちの取り組みや地域の魅力を外部の視点から改めて気づかされる事で、新たな刺激や再発見につながり、よりその活動を発展させていくきっかけとなります。

私の友人では、学生時代の語学留学を通じて、異文化・多文化に触れた経験から、地元の良さを再認識し自信を持ってその魅力を発信することができるようになった方がいます。その後カナダをはじめ4カ国で働いた経験を活かし、地元へUターンし、新潟市の広報戦略アドバイザーに着任し、自治体や大学に向けて海外へのPRの仕方を教えたり、新潟の誇りでもある棚田を守るため、米作りから酒造りを外国人と含めて実施する予定だそうです。これは国際的な機会から地元の魅力を再認識し、それを最大化しながら地元で生活する事を選択した好例です。

このような機会から新たな価値観をもち、呉のまちに対して、また、呉のまちで暮らす自分に対して高い肯定感を持った若者を創り出すことができれば、自ずと将来にわたりその価値を最大化・持続化させていくことと確信しています。
また、その国際的な機会から多種多様な文化や価値観を理解することできるようになり、若者自身の視野が広がる事で、物事を多面的に捉える事ができるようになり、様々なアイデアが浮かぶような人材が育ちます。
成長した若者が、自らが生まれ育った地域で暮らす事を選択することで、この呉は、活気あふれる若者と高齢者が共存するロールモデルのまちとなります。

 

若者の共感を呼び込む

これら地域の問題を解決するためには、呉青年会議所自体に多くの若者が集い、共感のもとに繋がる必要があります。
近年、新型コロナウイルスの影響で全国的に見ると前年比40%も入会者数が減っています。これは多くの活動の中止で、対面での会員拡大の活動が制約されている影響もあります。まちへの影響力をさらに強い力にするためには、より多くの若者が必要であり、その若者の意識変革を遂げさせるための能動的な機会を提供するのが青年会議所の使命です。
だからこそ、我々は会員拡大こそメンバー全体で取り組む必要がある最重要の課題であることを認識し、取り組んでいかないといけません。
そのためには、先ずは我々のまちに対する取り組みやビジョンに共感してもらう事が大切です。我々は勧誘時に青年会議所の概要を説明しますが、その短い時間だけでは、我々の取り組みについて十分に知ってもらうことは困難です。例えばひとつ屋根の下で、膝を突き合わせながら共通の趣味や話題をきっかけにしながら、我々の住む地域の将来についても語り合えるような濃密な時間があれば、より我々に共感を持ってもらえるでしょう。または、異業種交流会や各種セミナー等の機会から、ひとりでも多くの若者との接点の場を作り、対話できる場所が大切です。
さらに若者の嗜好の変化を汲み取り多様性を受け入れる風土も必要です。どのような組織も社会の変化に対応できなければ消滅する定めにあります。若者の嗜好を意識し、我々の価値観とベクトルを合わせる事で、たとえ青年会議所のメンバーでなくても、我々に共感し一緒に活動できる若いメンバーが増えれば、まちに元気を取り戻すことができます。メンバー以外の若者も一緒にまちづくりを推進できる新しい形を模索していきたいと思います。

 

他組織と連携する広報

 

いかに素晴らしい事業であっても、これが市民・地域に認知されなければ多くの繋がりを得ることはできません。そのため、広報活動が非常に重要であることはいうまでもありません。
我々は今まで、ホームページやSNS、チラシなどで呉青年会議所の魅力を伝えてきました。しかし昨今の多種多様な情報や価値観の中で、効果的にその伝えたい情報をイメージするターゲットに届けるのはますます難しくなってきております。
世のトレンドであり、我々青年会議所が数年前から強力に推し進めてきたSDGsを他組織と繋がりを持って推進することで、呉青年会議所をブランディングします。それはSDGsに親和性の高い現代の若者の共感を得ることで、会員拡大にも繋がる取り組みとなるよう実践していきます。

 

社会に必要とされるリーダーの育成

 

青年会議所の力である繋がりの力。その中でも重要なものとして,他の青年会議所との繋がりがあります。
他の地域の青年会議所には、メンバーが10名ほどにも関わらず世界で活躍するような人もいます。また、500名以上もメンバーが所属する青年会議所で重役を担っている人もおり、様々なルールや形態、慣習の青年会議所があります。   
このように自分の所属する地域を出て活躍するメンバーも経済的、時間的にゆとりのあるような人は少数で、実は上手に仲間から協力を仰いで時間を工面しながら、仕事と青年会議所の活動を両立している人も多いです。そのような呉とは違ったメンバーがいる環境に身を置く事で、自分の立ち位置が客観的に把握でき、物事に対する見方やアイデアが養われます。
まずは身近な存在である、兄弟JCの高知青年会議所、姉妹JCである高雄青年会議所との繋がりから物事の見方や価値観の違いを学び、その考えを自身の一部として応用することで自己の成長を遂げることが可能となります。
さらに、自己成長を遂げた人材が、その学びを自分の所属する青年会議所に還元することで組織や地域に更なる進化や変革をもたらします。このような好循環を確立し、繋げていくことが明るい豊かな社会の実現に繋がると考えます。
若き能動的市民のグローバルネットワークとなるべく、呉青年会議所をより質が高く、広いつながりを持ち、能動的に行動できる組織へと進化させる必要があります。
他の地域に所在する青年会議所との繋がり、そして繋がりから内部組織の活性化、出向や各種大会への参加・参画をこれまで以上に推進・サポートできる体制を整えます。

 

終わりに

 

2020年、そして2021年と新型コロナウイルス感染拡大により、世界は未曾有の危機に直面し、三密を避けた新たな生活が原則となりました。その中で、リモート会議やテレワークなどのシステムが新しい基準となりました。事態はいまだ進行中で、長期戦を強いられていますが、経済と安全とのバランスを保ち、共存していかなければなりません。
しかしどの様な時代が訪れようとも青年会議所運動を止めてはいけません。むしろこのような時代だからこそ臨機応変に対応できる強みを生かした運動が必要とされています。

呉青年会議所は本年創立70周年を迎えます。敗戦後間もない1952年11月11日、呉市に在住する青年25名が「戦後の荒廃した国土の再建は、我々青年をおいてほかならない」と設立趣意書を掲げました。偉大なる先人達は、国難の中で、本業どころか生命の維持すら脅かされる状況下で運動を始めました。70年もの間、先輩諸兄が紡いだ有形無形の資産を進化させ未来に繋ぐ責任を果たしていかなければなりません。
私たちの運動には可能性があります。挑戦することでたとえ失敗に終わったとしても大きな成長が約束されています。しかしその恩恵を受けるには、まずは最初の一歩が必要です。
恐れずに一歩踏み出す勇気が、自分を変え、組織を変え、人の心を動かし、さらに世界や未来をも変える力となるのです。私たちはいつまでも若者でいることはできませんが、たとえどんなに年齢を重ねたとしても挑戦できる社会の実現は可能です。
さあ、みんなでその一歩を踏み出しましょう。

 

※参考
・呉市高齢者福祉計画 第8期介護保険事業計画 令和3年3月
https://www.city.kure.lg.jp/uploaded/attachment/58902.pdf
・我が国と諸外国の若者の意識に関する調査 (平成30年度) 令和元年6月 内閣府
https://www8.cao.go.jp/youth/kenkyu/ishiki/h30/pdf-index.html

第70代理事長 糸谷 知剛