常務理事 平岡 達也
ご 挨 拶
私たちは、一切の制約が取り除かれ、自由に考えることができれば、自分のもつ創造性を最も発揮することができると考えがちである。
しかし、実際には、数多のイノベーション研究によって、人は、何の制約がないよりも、一定の制約がある方がより創造力を発揮することが知られている。
このような研究において典型例とされるのが詩である。数多くの言葉を並べられるよりも、短い詩に心を撃たれたという経験を持つ方も多いだろう。
詩は、五・七・五の俳句で知られるように、表現方法に一定の構造的な条件が課されている点に特徴がある。
このような表現上の制約があるからこそ、詩の表現方法は多様なものとなり、強い効果を持つ。
「制約こそが創造力を産む」ことは、青年会議所活動においても当てはまる。
事業目的と手法との整合性や効果を検討するために何度も会議を重ね、事業計画書と予算書を作り上げる。事業の実施が決定された後は、計画通りに実行されているか確認し、効果を検証する。
事業を担当する委員長からすれば、迂遠なことこの上ないシステムに感じることもあるかもしれない。
しかし、このような一見迂遠とも思える意思決定システムは、形式的には時代とともに変化をしつつも、その根本的な精神は70年にわたり受け継がれてきた。
その理由は、まさにこのような制約があるからこそ、創造的な事業を企画し、実施することができたという暗黙知にあるのではないだろうか。
少子高齢化やグローバル化における地域社会の在り方といった課題は、いずれも一筋縄ではいかない。
このような課題を解決するにあたり、「制約こそが創造力を産む」と信じる力は最も重要であるはずだ。
事務局は、予算の管理をするとともに、各種会議の資料作成配布等を円滑に行うことで、各委員長が制約と向き合い、創造的な事業を構築することができるよう助力していく。